Case Study

アサヒ飲料株式会社様

【導入事例・対談】アサヒ飲料株式会社 広域量販営業部 × secondz digital

営業提案の「標準化」と「工数削減」を、PowerPointアドインで実現する

導入前の課題

  • 量販チェーン様向けの提案資料づくりが営業担当者の大きな負荷になっていた
  • マーケティング部門が作成した資料の検索・編集や、各種データ分析結果の資料への反映に、現場で多くの手間がかかっていた
  • 提案の質が担当者ごとにばらつきやすく、標準化が難しかった

導入後の効果

  • 提案資料の汎用箇所をPowerPointアドインで自動化し、作成工数を大幅に削減
  • 提案内容の標準化により、誰が作成しても安定して高品質な資料を提供できる状態に
  • 現場で生まれた余力を、より付加価値の高い提案活動に活用できるように

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様 、secondz digital 中村、加藤

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様 、secondz digital 中村、加藤

清涼飲料大手のアサヒ飲料株式会社様 広域量販営業部では、量販チェーン様向けの営業活動において、データに基づいた質の高い提案を強みとされています。

一方で、その提案資料づくりには大きな工数がかかり、品質にもばらつきが生じやすいという課題がありました。

この課題に対し、アサヒ飲料様と secondz digital は、約半年のPoC(実証実験)と約1年の本番開発を経て、営業提案資料の汎用箇所を自動で作成するシステムを共同で開発。現場の営業担当者が、より付加価値の高い提案活動に集中できる環境を実現しました。

プロジェクトを推進されたアサヒ飲料様のご担当者と、secondz digital のプロジェクトメンバーに、取り組みの背景から成果、今後の展望までを語っていただきました。

導入前の課題 ―― トレードマーケティングの提案のため、いかに「時間を創出」するか

―― はじめに、広域量販営業部はどのような業務を担われているのでしょうか。

アサヒ飲料 野中様:私たちの部署は、量販チェーン(スーパーやドラッグストア等)様の営業部門を担っています。その中で、私たち量販マーケティンググループは、営業部門の改革を担う部隊として、企業様との協業プロジェクト/人材育成/システム開発などを行っています。

お取引先様へのご提案に対しては、「トレードマーケティング」という視点を意識して活動しています。これは、メーカーである私たち、お取引先様、そして実際に商品を楽しんでいただく消費者の皆様――この三者すべてにメリットのある形を目指す、という考え方です。

その中核に置いているのが、インサイトの観点です。データに基づいて、お取引先様ならびに消費者のインサイトまで深掘りし、カテゴリー成長戦略に紐づいたご提案をしていく。そこに私たちの価値があると考えています。

―― その中で、どのような課題を感じていらっしゃったのでしょうか。

アサヒ飲料 量販マーケティンググループ グループリーダー野中様

アサヒ飲料 量販マーケティンググループ グループリーダー野中様

アサヒ飲料 野中様:直近の課題としては市場環境が大きく変化していることが挙げられます。人口動態の変化は購買へ影響しますし、お客様のニーズも多様化しています。市場環境が大きく変化するなか、量販チェーン様においても、より地域やお客様のニーズをとらえた販売活動が求められる時代になっております。

そのお取引先様へ提案するメーカーである私たちも、お取引先様のニーズに沿った提案を高度化させることが重要です。そのなかで、一番の課題は、提案の高度化を図るための「時間の創出」でした。

営業プロセスのDX推進のなかで見えた「時間の使い方」。提案の準備には、データ収集・分析・構成・ビジュアル化と多くの工程があります。どれも重要な作業ですが、一方で営業の本来の価値は、お取引先様の課題を深く理解し、飲料カテゴリーの成長をともに考えることにあるはずです。

「定型的な作業に費やす時間を、もっと考える時間に変えられないか」―それが開発の出発点でした。

プロジェクト開始の背景

―― プロジェクトはどのように立ち上がったのでしょうか。

アサヒ飲料 野中様:そうした課題を解決するために、提案の高度化×効率化の両立を目指し、2024年頃から構想をスタートしました。提案準備の「汎用的な作業を自動化」し、創出した時間を、お取引先様のカテゴリー課題を深く掘り下げ、カテゴリー成長の戦略を構築する「考える時間」に充てています。

提案資料をつくることがゴールではなく、お取引先様の課題を解決するための「考える力」を磨くこと。システムが「作業」を担い、人が「思考と戦略」を担う。この役割分担こそが、私たちが目指した姿です。

secondz digital を選んだ理由

オンライン参加の町田様とやりとりの様子

オンライン参加の町田様とやりとりの様子

―― 数あるパートナーの中で、secondz digital を選ばれた決め手はどこにあったのでしょうか。

アサヒ飲料 町田様:今回の開発では、単にシステムを構築する技術力だけではなく、新しい取り組みを一緒に形にしていけるパートナーであることを重視しました。その観点で、PoCの段階から、大きく3つの点を評価していました。

1つめは、「できる」方法を一緒に考える姿勢です。

システム上難しいことでも「できない」理由を探すのではなく、私たちの実現したいことを一緒に整理しながら、「どうすれば実現できるか」を同じ目線で考えてくれました。一般的に「できる」「できない」の2択の回答が多いかと思いますが、secondz digital様の場合は、「できない」ということでも、「こういう方法ならできる」といった、0か100かではない、100に近づけるための代替案を一緒に考えてくださった。あるいは「機能的には完全に無理だが、なぜその機能が必要なのか」というところまで踏み込んで、私たちの要望そのものを「これは出さなくてもよかった」「別の要望に変えた方がいい」という形でリードしてくださいました。

2つめは、私たちの業務を深く理解した上で議論してくれたこと

単に「システムを作る会社」ではなく、私たちの営業現場で何が起きているか、裏にある狙いや業務導線など全体的な背景まで理解を深めて、仮説をもって提案をしてくれるコンサル力の高さです。

3つめは、「とにかく早く失敗と成功を繰り返す」高速なアジャイル開発です。

まず形にし、実際に確認しながら改善を進められる開発スピード。変化の早い営業活動において、私たちとしても実際のシステムやアウトプットの形を目で見ながら開発を進められたのは、非常に大きかったです。

この3点が揃っていたことが、決め手になりました。

SZD 中村:「PoCで終わらせない」ことは、私たち自身も強く意識していたテーマでした。そのうえで、プロジェクトの背景から目的までを、広域量販営業部の皆様から惜しみなく共有いただける環境にあったことは、私たちにとって本当に幸せなことでした。

たとえばトレードマーケティングという概念や、量販チェーン様の変遷の歴史――こうしたお話を、書籍までご紹介いただきながら教えていただきました。教えていただくたびに社内へ展開し、チーム全員で理解を深めながら進められたことが、成果物の質に直結したと感じています。

実際の取り組み内容

―― 開発にあたって、特に意識されたことを教えてください。

本プロジェクトのアサヒ飲料様側プロジェクトマネジャーを務められた町田様

本プロジェクトのアサヒ飲料様側プロジェクトマネジャーを務められた町田様

SZD 中村:PoCの段階から、「単に動くものを作る」のではなく、実際に現場でどう使われるかを徹底的に意識して開発しました。「PoCで終わらせない」をまさに意識していて、現場で使われること、現場で定着するまでやり切ることが私たちのやりたいことでした。

営業の現場では、複雑なシステムはどうしても敬遠されがちです。そこで、ふだん使い慣れているPowerPointの中で完結する「アドイン」という形にこだわりました。

新しいツールを覚えるのではなく、いつもの作業の延長線上で、提案資料が出来上がっていく。その自然さを大切にしたかったのです。

アサヒ飲料 町田様:約半年のPoC期間と、約1年の本番開発期間を経て、完成にたどり着くことができました。

お取引先様にお出しする資料ですから、現場の目線で見ると「ここはこうしたい」というこだわりポイントがどうしても多くなります。そうした細かな要望にも、一つひとつ丁寧にご対応いただけたと感じています。

アサヒ飲料 町田様:セキュリティの面でも、高い水準でスピーディに対応していただけました。当社の厳しいセキュリティ要件にも柔軟かつ迅速に対応いただけたことは、安心して本番展開に進めた大きな理由のひとつです。

―― 開発にあたって、大変だった・苦労した項目を教えてください。

アサヒ飲料 永瀬様:開発にあたって、苦労した点は大きく2つあります。

1つめは、単にシステムを開発することを目的とせず、実際に「現場で使える」システムにすることです。

PoCの段階から現場の意見を取り入れながら改良を重ね、現場が使えると腹落ち感をもてる設計にこだわりました。そのなかで、PoCの段階から、現場の声を取り入れるため実際に動くデモを開発したいという希望に対して、ご支援をいただいた点は大変ありがたかったです。

2つめは、実務に適した「アウトプットの質」の担保です。

実際に営業現場で使えるシステムになるには、アウトプットの質の高さは不可欠です。前述した飲料業界の用語や商習慣、業務導線まで深く理解いただき、私たちの要望に対して、大幅な改修も含めてシステムに落とし込んでいただけたことが、リリースに至れた大きな要因だと考えております。

SZD 加藤:私たちにとってはいま挙げていただいた2点の裏側がそうでした。「現場で使える」ものにすべく、ご要望に優先順位をつけ、柔軟かつスピーディに開発・改修を重ねました。「動作するプロトタイプを迅速にご提示し、現場からのフィードバックを開発へ反映」するサイクルを継続することを重視しました。

特に印象的だったのは、受入テストで原因の特定が難航した不具合です。特定の操作を行うと必ず再現するのに、その条件が読み解けず、何日も調査と仮説検証を重ねました。最終的には弊社CTOも加わって原因究明を進めた結果、ライブラリ内部の挙動が不具合に深く関わっていることにたどり着き、リリースに間に合わせることができました。

チーム全員で乗り越えたこの経験は、私たちにとって忘れがたいものです。

原因の見えない不具合でも諦めず、誠心誠意やり抜く。その積み重ねこそが、お客様との信頼につながると考えています。

成果・現場の変化

―― 実際に導入されて、現場ではどのような変化がありましたか。

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様

アサヒ飲料 永瀬様:PoCの段階から、現場で非常に高い満足度を得ることができました。本番展開の際も営業部門からの期待が大きく、特に資料作成のスピードの速さには非常に多くの方から驚きの声が上がったほどです。

それだけ、提案資料づくりの負担が大きかったということでもあります。

アサヒ飲料 町田様:私は4月から営業現場に近いポジションへ配置転換になりました。4月時点では、まだ利用拡大の途中段階でした。

そこで私が伝道師となって価値伝達や操作レクチャーをしたところ、「これは便利!」と使い始めるメンバーもいました。なかには、他のシステムと組み合わせるなどして独自の業務導線を組み上げたメンバーもいます。

いかに操作が簡単なシステムでも、現場に定着させるには丁寧な浸透活動が重要だと感じています。

アサヒ飲料 永瀬様:システムを展開した現在は、全国の各支社への定着活動を進めている段階です。地道にフィードバックを集めながら、利用率の向上やシステムの改善に取り組んでいます。

現時点では、システム普及段階ですが、実際にアンケート結果からも量販営業部門で約90時間/月の考える時間の創出効果が出ています。今後普及を進めることで、試算上は年間4,500時間程度の「時間の創出」を見込んでいます。

最終的に目指しているのは、全国のお取引先様に、より価値の高いご提案ができる状態をつくること。そして、その先で営業現場そのものが元気になっていくこと。そのサポートができていれば、これ以上嬉しいことはありません。

今後の展望

―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様、secondz digital 中村、加藤

右からアサヒ飲料 永瀬様、野中様、secondz digital 中村、加藤

SZD 中村:secondz digital では、営業領域のAIX(AIトランスフォーメーション)支援を加速させています。営業の領域は、まだまだ暗黙知や、いわゆる“泥臭い”仕事が多く残っている世界です。だからこそ難しい領域でもあるのですが、昨今の生成AIの進展によって、ようやくその一歩を踏み出せる時期が来たと感じています。

今回アサヒ飲料様とご一緒した取り組みは、その確かな第一歩です。これからも、営業現場の皆様が本来の力を発揮できる環境づくりを、お客様と伴走しながら進めてまいります。

アサヒ飲料 野中様:効率化できるものは効率化すべきという考えは、小売業様もメーカーである私たちも共通しています。ただし、人の力も重要なので、AIに任せる領域と、人が担うべき領域を丁寧に見極め、その考え方を営業の仕組みや業務基盤の整備にも反映していく必要があると考えています。

お取引先様においてもデータやAIを活用した意思決定が進みつつあり、私たちメーカー側にも、より高度な提案力が求められる時代になっていると感じています。AIの判断結果を適切に解釈し、最終的な意思決定に活かす人材育成が重要になると考えています。

結論として、AIをどう使いこなし、どう付き合っていくかという「人材面の整備」がなければ、仕組みだけ作っても機能しない。AIリテラシーの向上が大きな課題であり、グループとしても教育に取り組んでいきたいと考えています。

アサヒ飲料 町田様:現場に来てみて、本社の声が現場に届いていないことがあると実感しました。本社にいた頃も「これはすごい」と言ってくれる方はいました。ただ、現場で実際にどのように使っているのかは把握できていませんでした。

現場に来てみると、活用状況には拠点による差があり、継続的な定着支援の重要性を改めて感じました。野中の発言にもあった通り、生成AIのような新しい技術は、誰かが目の前で実際の使い方を見せないと浸透しにくく、オンライン会議のような一方通行の説明では限界があります。

その意味で、今回4月にシステム開発に携わっていた自分のようなメンバーが現場に立って業務クオリティ向上に取り組めていることは、会社にとって良い試みだと感じ、現場への浸透を推進していきたいです。

SZD 中村:営業の現場でも不安や疑問などがあると思います。実際に目にすることで納得感があり、不安などを解消できる、とてもいい取り組みですね。ぜひフィードバックいただきたいです。

アサヒ飲料の皆さま、この度はありがとうございました。 今後もパートナーとして取り組みに貢献できればと考えております。 引き続きよろしくお願いします。

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